放課後 (講談社文庫)東野圭吾 ¥ 600 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
放課後 (講談社文庫) | |
| ガリレオや容疑者を読んでから・・・という人が今更こんな古い小説を読んで楽しいなど思うわけもないではないか! この作品が書かれた時代は、まだまだ現在のような「ミステリー」とは違って、 いわゆる「推理小説」全盛期だった。 殺人トリックの技量と意外性を競い合っていた頃なのである。 その中でこの作品は、本当に驚きであった。 今では意外性もないストーリーかもしれないが、 当時はものすごい衝撃だったのだ。 そして、この数年後から、現在に通じる社会派ミステリーが続々と登場することを思うと、 東野圭吾のこの作品抜きにミステリーは語れない思いである。 この気持ちを分かってくれる乱歩賞ファンはいないのか! 男の性に対する本質をとても感じる作品でした。師であっても結局は男なんだと読み終わって強く感じました。また女子高生の世界がとても上手に描かれているなと思いました。好奇心の強さや,噂話が大好きなところなど,自分にも覚えがあります。この物語に女子高はピッタリの舞台だったと思います。ケイは今の女子高生の象徴って感じの子でした。見た目には明るくても色々なことを抱えているのだなと思います。女子高生を一度経験した... | ||
週刊司馬遼太郎―土方歳三血風録/永遠の竜馬/信長のみち/「功名が辻」の世界 (週刊朝日MOOK)¥ 900 通常3〜4日以内に発送 ★★★★★ |
週刊司馬遼太郎―土方歳三血... | |
| 週刊朝日の連載記事をたまたま見かけて、買ってみた。 司馬は取材のために全国各地を訪れ、竜馬や信長が通った道を丹念に歩いて、作品のリアリティを構築していった。本書は、その取材の航跡を追いかけるようにして、司馬作品ゆかりの場所を訪れ、主人公たちの子孫、あるいは司馬が取材をした町の人たちなどを紹介しつつ、司馬がどのように作品を構築していったかを追ったある種のドキュメンタリーである。 本書で取り上げているのは、「燃えよ剣」、「竜馬がゆく」、「国盗り物語」、「巧妙が辻」の4作品。38歳から41歳ごろに同時並行的に執筆された作品群である。このころの作品には瑞々しさと抜けるような明るさとエンターテイメントがあふれていて、筆者はこの時期の司馬がいちばん好きだ。 これら4作のファンの方には、映画でいう「メイキング」を楽しむ感覚で、お勧めできると思う。 週刊朝日に連載中の「週刊司馬遼太郎」の一部シリーズ が単行本になって登場。特にうれしいのは 雑誌ではモノクロの写真がこちらでは 鮮やかなカラーで蘇っているところだろう。 当時の司馬さんの取材の裏話とかも入っていたりして 司馬ファンには必須の書でも... | ||
週刊司馬遼太郎 (3) (週刊朝日MOOK) (週刊朝日MOOK)¥ 900 通常3〜4日以内に発送 ★★★★★ |
週刊司馬遼太郎 (3) (... | |
| 週刊司馬遼太郎Vol.Iから愛読しているが、 今回のVol.IIIを手にしてみて、 『司馬遼太郎』の知識、思考の 引き出しの大きさ、多さを再認識させられた。 巻末にある夫人の福田みどりさんインタビュー からは『福田定一』という人物の懐の深さ、 ユーモアのセンスも垣間見ることができる。 表紙の司馬さんの写真が巻を重ねるごとに 大きくなっているのと比例するかのごとく、 Vol.IIIではより一層、原寸大の『司馬遼太郎』 に触れることができる、うれしい一冊になっている。 | ||
週刊司馬遼太郎 2 (2) (週刊朝日MOOK)¥ 900 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
週刊司馬遼太郎 2 (2)... | |
| 司馬遼太郎さんの作品を軸に縦横無尽に広がり、 読者を裏切らない展開はこのVol.2でも顕在。 司馬さん亡き後、生まれては消えていく、幾つもの 司馬さん関連の出版物があふれるなかで、 『週刊司馬遼太郎』というブランドをこのVol.2で 早くも確立してしまった感がある。 決して二番煎じではない、意義のある Vol.2である。 サイズ的にも旅行カバンにも入れやすく、 ちょっとした旅のお供にも最適。 | ||
三匹の蟹 (講談社文芸文庫)大庭みな子 ¥ 1,103 通常3〜5週間以内に発送 ★★★ |
三匹の蟹 (講談社文芸文庫) | |
| 表題作「三匹の蟹」は、アメリカ(多分)で生活する日本人の家族。主人公は、主婦の由梨。閉塞感というよりは、だらしなさが濃くて、気持ち悪くなるくらい。特に夫婦のやりとりが。 最近書かれた作品を言われても違和感がないくらい現代的で、昭和40年代前半に書かれたと思えないくらいです。 | ||
「三島由紀夫」とはなにものだったのか (新潮文庫)橋本治 ¥ 660 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
「三島由紀夫」とはなにもの... | |
| 橋本治と三島由紀夫の意外な組み合わせに興味本位で手にしたが、橋本が三島の生涯と作品に本格的に格闘しており、読み終えた今充実感を覚えている。これまでに読んだ橋本の本では、饒舌体でシニカルな文章に馴染めず読み通すことが少なかった。これに反し本書は、三島の主要作品(遺作となった「豊饒の海」4部作、才気溢れる20代の「仮面の告白」と「禁色」、不振の30代の「金閣寺」)を丁寧に読み込み分析し、合わせて執筆時点の三島の内面に真摯に向き合っていて、晦渋ながら一気に読み通した。 といっても、全編いたるところに橋本流の独自性は健在である。本書の主論をなす「同性愛を書かない作家」と「女との恋愛の拒絶」は、類書にはないユニークな視点だ。また、三島の知性の構造を天動説に例え、他人に託した私小説作家との指摘は興味深かった。 これまで40年近くモヤモヤしていた三島由紀夫の市ヶ谷駐屯地での自決に到った背景が、本書によってようやく分かった気がする。 三島文学賛美者の多かった生前から、その奇異な晩年・おぞましい自決後の乖離という時代も終わり、三十有余年を経て歴史の領域に埋没した平成の今、本書は時宜を得... | ||
村上春樹にご用心内田樹 ¥ 1,680 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
村上春樹にご用心 | |
| 本書は、「村上春樹がノーベル文学賞を受賞していたら新聞に掲載されるはずだった文章」とあとがき以外、 すべて内田さんの人気ブログ「内田樹の研究室」の文章の採録なので、日々内田さんのブログを閲覧している 人には取り立てて新しい発見はないと思います。 むしろ、この本は既存の内田ファンではなく、「内田樹を読んだことがない村上春樹ファン」の人に読んで みてもらいたいです。 今までの村上春樹評論とはまた異なった解釈がなされています。 この本で秀逸なのは「村上文学の世界性について」の章。 村上作品には「父」が登場しないんです。 知ってました? その「父」とは、一家の大黒柱と呼ばれた、思春期の娘に疎まれたりする、要するに「親父」のことではありません。 親父が出てこない小説にも「父」は現前します。普通はね。 しかし、村上春樹の小説にはその「父」が登場しない。 内田先生は、そこに村上作品が世界的なポピュラリティーを獲得した理由を求めます。 「何?その『父』って」と気になってくるでしょ? そんな人は、今すぐ「ショッピングカートに入れる」をクリック!!ブログに書かれた文章を一冊にしたものだということ... | ||
芥川龍之介全集〈1〉 (ちくま文庫)芥川龍之介 ¥ 840 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
芥川龍之介全集〈1〉 (ち... | |
| まず芥川龍之介は全集で読むべき作家です。それは作品の大半が短編で、その創作内容が広いためです。純文学、時代小説もの、王朝もの、切支丹もの、明治もの、児童小説など挙げればきりがありません。そして純文学の正道を歩みつつ、ここまでレトリックを駆使する作家も珍しい。多彩かつここまで楽しませてくれる作家もそうはいないと思います。短編集で満足するには惜しすぎる作家なのです。 しかし一般読者にずっと愛されたのに反し、人間の苦悩を好む戦前文壇では永く無視されてきました。短編中心で、ラストの落ちで読者をあっと言わせるような話の書き手である以上合いが悪かったのだと思います。話の大半は最後が幻想文学的で、通常の内容では結末がつけられないと本人が言っている程です。 この全集の年代順に読んでいくと作品の傾向などの変化が感じられて良いです。第一巻ではシニカルで皮肉的な「MENSURA ZOILI」が一番お気に入りです。どうぞ一度全集を通して読んでみて下さい。きっと気に入る話が見つかります。年代順がバラバラなこともありますが、芥川龍之介の年代順に並べたものです。この本の評価できるところは、左側に語注が常にある... | ||
妊娠カレンダー (文春文庫)小川洋子 ¥ 420 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
妊娠カレンダー (文春文庫) | |
| 妊娠した姉のために くつくつ とグレープフルーツを煮込み ジャムを作っている、わたし。 姉はその鍋を抱えるようにして スプーンですくって食べ尽くす。 「アメリカ酸のグレープフルーツには 強力な毒薬が使われており 染色体をも破壊する」 ふと目にした広告。 その毒は胎児の染色体も破壊するのかしら だからわたしはせっせと 姉にグレープフルーツを食べさせる。 精神のバランスを欠いている姉と フツーであるようで やり何かが損なわれている、わたし。 その二人を結びつけているのが 食べモノだ。 小川洋子氏の食べモノの表現は とてもグロテスクで 身体の内部を彷彿させる。 さるきちが口にしたものもね、 ぬめっとした腸や、 柔らかい皮が張った胃や、 きゅっと締まった卵巣といった、 臓器へと変容するのだなあ と、想像することができる。 さらに、 食べ物は 単に身体を形成するだけでなく、 精神にも深く寄与しているのだと、 考えさせられる。 摂食障害で 時に食べモノが敵となり、 食事が苦... | ||
マルクスその可能性の中心 (講談社学術文庫)柄谷行人 ¥ 924 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
マルクスその可能性の中心 ... | |
| この本はマルクス主義の本でもなければ、マルクスの考えを好意的に解釈しようという試論でもない。あくまでマルクスの「可能性」を検討したものであって、柄谷はマルクスのいまだ「思惟されていない」部分を読み取り、時にはマルクスと決別しさえする。 まず柄谷は『資本論』の価値形態論から入るが、古典派経済学の労働価値説との違いを強調する。マルクスの価値形態において、価値とは複数の商品の関係において表れてくるものである。一方で、スミス、リカード等の労働価値説は商品に内在する価値を認め、それは労働時間に他ならないというのである。そしてマルクスも同じく、価値形態の必然的帰結として「拡大された価値形態」=「貨幣形態」を導く。しかし柄谷はここで「転倒」が生じていると指摘する。マルクスの貨幣形態は、現実に貨幣が使われているからそういうのであって、論理的帰結ではないというのである。そもそも「内在する価値」を想定すること自体が危険だというのだ。 これは、古典派経済学批判、貨幣形態論批判であると同時に、「本質」の存在を当然視するヘーゲル哲学、形而上学批判でもある。 続いて柄谷は「剰余価値論の検討」「マルクスの... | ||
村上春樹 イエローページ〈2〉 (幻冬舎文庫)加藤典洋 ¥ 520 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
村上春樹 イエローページ〈... | |
| イエローページ1と同様この本も村上春樹の小説の解釈を行っている.個人的に一番面白かったのはノルウェイの森についての箇所. ノルウェイの森は素晴しい小説だと思う.村上春樹というよりは今まで呼んだ作品の中でもトップクラスの衝撃を与えてくれた.だが「この小説の何処が良い」と聞かれた時に上手く答えることは出来なかった.感じたことをそのまま言葉に出来ないことを幾度も歯がゆく思ったものだ. それをこの本はさらっと代弁してくれた.ノルウェイの森が与えてくれた感動の源泉,それをたったの数行で・・・それだけでもこの本は読む価値があった.文庫化に際して加えられた著者による「あとがき」が面白い。『ねじまき鳥クロニクル』に出てくる井戸の解釈をとおして1995年に村上春樹が言い出した「デタッチメントからコミットメントへ」の真の意味がつかみ取られていて、単行本を読んだときに少し残ったフラストレーションが、すっきり解消された。また、内田樹氏による文庫版の解説も出色。なぜ村上作品が世界中で読まれているのか、そして、にもかかわらず日本の評論家のほとんどが彼の評価を避けているのか、について書かれていて、「イエロー... | ||
村上春樹 イエローページ〈1〉 (幻冬舎文庫)加藤典洋 ¥ 520 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
村上春樹 イエローページ〈... | |
| この読解本を読み終えた後では、村上さんの作品が自分の中で「小説」ではなく「思想書」に近い雰囲気を帯びてきているのを感じます。読んでみれば分かりますが、どの内容も単なる「こじ付け」や「都合のいい解釈」ではないのは、加藤氏はじめゼミ生数十名による集団的批評による評論精度の向上の結果の賜物でしょう。本当にお疲れ様です。村上作品に対する自分の持つイメージを大切にする方もおられるでょうが、真実を知りたければ本書を手に取ることを強くお勧めします。少なくとも僕は既成の見解を打ち壊され、激しいショックを受けました。「漠然と小説を読む」という行為は、村上春樹にはもったいない。読む=理解ではないこと、小説は一生楽しい玩具箱であることを教えてくれたこの本に感謝します。 元来,にとって正しい解釈というのはあるのだろうか.国語の問題ではあるまいし「このとき作者は何を考えていたか」などと問いを考える必要は無い.読み方は自由だ.ましてや村上春樹のような作家の小説に解析など野暮なだけではないか? このように考えていたがこの本はそれなりに楽しませてくれる.書いてあることにはそれなりの整合性があり,かつ通常では気がつ... | ||
遠き落日〈上〉 (集英社文庫)渡辺淳一 ¥ 600 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
遠き落日〈上〉 (集英社文... | |
| 笑える所 イライラする所 感動する所 総じてずっと心配しながら読んでました。 特にお金の使い方に。 論文の発表に。 この本を読んで本が好きになりました。上下巻一気に読みました。いや、凄い。野口英世は、本当に凄い。強烈な個性と、信じがたい努力。こんな人が日本にいたとは知らなかった。言葉では言えないくらい、感動した。野口英世は実に実に凄い。波乱に満ちた人生である。猪苗代から医者を目指して上京し、 さらに学者となるために、ほとんどアテのないアメリカに単身渡米し、 苦難を乗り越えて世界的な学者となっていく。 今の我々に彼のような生き方ができるであろうか。 自分の故郷、さらには日本の医学界に見切りをつけて無謀ともいえる アメリカでの彼の生き方は我々に勇気を与えてくれる。 若い人にとって、この本は勇気を与えてくれるものだと信じる。 日本でダメなら世界があることを教えてくれる。日本国民はこれほどでたらめな人物がお札になって、毎日その顔を見ていることを知っているのだろうか。周囲の人たちから借金しまくり、郷里の友人が無理して作ってくれた金までも遊興で使ってしまう。結婚の約束で借りた留学費用さえ... | ||
漱石文明論集 (岩波文庫)夏目漱石 ¥ 735 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
漱石文明論集 (岩波文庫) | |
| 実は小説よりも好きかもしれない。特に好きなのは明治三十四年三月二十一日の日記。「未来は如何あるべきか。自ら得意になる勿れ。自ら棄る勿れ。黙々として牛の如くせよ。孜々として鶏の如くせよ。内を虚にして大呼する勿れ。真面目に考えよ。誠実に語れ。摯実に行へ。汝の現今に播く種はやがて汝の収むべき未来となって現はるべし。」すごい。日記とは思えない。日記ってとても個人的なことを綴るものだから、これが漱石の素顔なんだと思う。作家として、人としての誠実さに感動する。「今までは全く他人本位で、根のない萍のように、そこいらをでたらめに漂よっていたから、駄目であったという事にようやく気がついたのです。」このことに気付いた漱石はこの後大変”強くなった”と語っています。他人には気付かれない自分の中の煩悶に悩み、苦しみ続け、葛藤のにたどり着いた彼の境地。これから社会へ出る人にぜひ勧めたい一冊です。 明治時代の大インテリ(政府から派遣されて留学したのはご存知の通り)である漱石が、「文明開化」に対する抵抗感などを語っている。漱石の生きた時代、次々に輸入されてくる文化によって、人々は否応なしに急激な変化の波に呑み込まれ... | ||
「村上春樹」を聴く。 -ムラカミワールドの旋律-(CD付)小西慶太 ¥ 1,680 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
「村上春樹」を聴く。 -ム... | |
| 「ねじまき鳥クロニクル」の冒頭に「ロッシーニの『泥棒かささぎ」はスパゲッティーをゆでるのにうってつけの音楽」と書かれています。 初めてこの本を読んだとき「「泥棒かささぎ」とはどんな音楽なんだろう?」と思い急ぎCDを買いに行ったことがあります。 村上春樹の小説を読んだことがある人なら、誰でも一度は同じような経験があるのではないでしょうか。 この本はそんな人にとっては格好の一冊となっています。 1つの作品ごとに音楽が使われた箇所の記載、アーティスト名、アルバム名が書かれており、CD購入の際には非常に便利です。 自分もあまり詳しくないクラシックを購入する際の一つの目安としています。 付属のCDも落ち着いた雰囲気で好盤です。CD付きでこの値段も良心的だと思います。 今まで小説を読んでから、どんな曲か知りたくなってドアーズとかビーチボーイズとかのCDを買い求めたりしてました。付録でついているCDはギターのメロディが美しく、休日の午前なんかにぴったりです。曲やアーティストの解説も丁寧で、文庫本の何貢に登場するかまで記されています。 こんな音楽だったのか、こんなミュージシャンだったのか…と、ページ... | ||
三島由紀夫―没後35年・生誕80年 (KAWADE夢ムック)¥ 1,200 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
三島由紀夫―没後35年・生... | |
| 三島由紀夫。僕が小学校低学年の時に初めて社会に参加した、いや、せざるを得ない程の報道、そして著名な人間の切腹…という行為があったため、幼かった僕らは遊んでいた場所から歩いても20分かからない市ヶ谷駐屯地に足を運びました。 その時の光景をはっきり、覚えております。自衛隊の面々がすらっと並んで…「貴様ら、ガキのくせに何をしに来たんだ!」と言われたあの言葉。本当に、あの日を境に、友人はどうか分かりませんが…僕自身は自分と社会、政治の繋がりを紛れもなく感じた…そういう一日でした。 本著は2年前ですが…三島由紀夫氏が亡くなられてから35年、そして生誕80年を記念して発刊された河出書房新社のムックです。 このムックで珠玉なのは、宇野千代さん、渋澤龍彦さん、中村歌右衛門丈、そして寺山修司さんらとの貴重な会談が残っている事です。もし三島氏が御尊命だったら、現在82才という事になるのでしょうけれども…三島さんは絶対「老いる」自分は見せなかったでしょう。しかし、三島文学、「仮面の告白」に始まり、4部作「春の雪」等々、再度「日本人」として読んで様々な事柄を考えるべき時代ではないでしょうか。 | ||
写真集 三島由紀夫 ’25~’70 (新潮文庫)¥ 460 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
写真集 三島由紀夫 ’25... | |
| 三島由紀夫の幼少時から自決した日までの写真を収めて居る他、自筆の原稿、自宅の風景、上演された三島作品(戯曲)の舞台写真などをも収めた貴重な写真集である。『サド侯爵夫人』を上演するスウェーデン国立劇場の舞台稽古の写真では、映画監督イングマール・ベルイマンが、この作品(『サド侯爵夫人』)の演出をして居る光景が写真に写されて居て、驚かされた。非常に興味深い写真集である。 (西岡昌紀・内科医/三島由紀夫の37回目の命日に)三島由紀夫という人間に憧れた僕にとって、 この写真集はある意味、三島由紀夫が書いた小説より大事である。 「人間」三島由紀夫がそこにあるからだ。 病弱だった幼少期、筋骨隆々の人気作家時代を知ることが出来、 あと三島直筆の原稿なども見ることが出来る。 ミシマ文学ファンなら持っておくべきだろう。文学者の自殺を否定し、武士の自殺を肯定していた三島がとった行動は明らかに武士のそれだった。三島の生涯を写真や直筆原稿を、エッセイ等を交えた伝記。彼の生涯を概観するにはもってこいだが、概観するにはあまりに強烈な生涯だ。私のような浅学非才のものにはちょうどいいかもしれない。 三島の写真と言... | ||
宮澤賢治に聞く (文春文庫)井上ひさし こまつ座 ¥ 650 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
宮澤賢治に聞く (文春文庫) | |
| 井上ひさしは本当に優しい人である。初心者に、愚かな者に、自分が発見したことを懇切丁寧に教えてくれる。 生来の、教師なのだ。 全部で四部構成。 第一部は「賢治の宇宙」。宮澤賢治だけじゃない、石川啄木まで登場。聞き手は勿論井上ひさし。文句なく愉しい。 とくに、面白いのは第二部「宮澤賢治はこう生きた」。写真入り、絵いり、巨大活字、週刊誌なみの大見出し、小見出し。まことに身近に感じられる。 決まりは第三部におさめられている「講演 賢治の世界」である。井上ひさしの目玉がどう賢治をみているかわかる。 付録に「宮澤賢治年譜」もついてこのお値段。ゴタゴタいわないでこの書をもって賢治の世界と現在を観てみよう。だいぶ、世の中が変わって見えるはず。サービス精神旺盛な井上ひさし先生にはいつもながら感心する。できれば、単行本がおすすめ。老人には少し活字が小さい。宮澤賢治に関心ある諸氏必携の書。 宮澤賢治関連本は多々ある。研究者は数え切れないほどいる。だからある程度以上の賢治マニアには、言わずもがなな事が多く書かれてあって必要ないかもしれない。けれども、単に童話を20〜30読んでいる『だけ』のような人には、ここ... | ||
街道をついてゆく 司馬遼太郎番の6年間村井重俊 ¥ 1,470 通常3〜4日以内に発送 ★★★★★ |
街道をついてゆく 司馬遼太... | |
| 私は司馬遼の大ァンであるが、「街道をゆく」はまだ読んでいない。 「街道をゆく」は司馬遼太郎が1971年から1996年まで実に25年もの間 週刊朝日に連載されたもので、文庫本では43冊になる大作だ。 その25年のうち最後の6年間を担当したのが村井重俊さんだ。 彼も司馬遼の大ファンであるが、当時 不覚にも「街道をゆく」は読んだことがなかったらしい。 結局、私は「街道をゆく」の前に「街道をついてゆく」を読んでしまった。 この・・・ついてゆく、は言うまでもないが司馬さんが主人公である。 と、同時に旅の先々でかかわった人たちが生き生きと描かれており そのことが改めて司馬さんの人柄を見事に描写している。 著者が書いているとおり”司馬さんは誌面で生き続けている” この本を読んだことで「街道をゆく」に興味がわいてきた。 村井さんが共に旅をした最後の6年間から先に読んでみようかな・・・ そんな気持ちになりました。 | ||
果し得ていない約束―三島由紀夫が遺せしもの井上豊夫 ¥ 980 通常3〜5週間以内に発送 ★★★★★ |
果し得ていない約束―三島由... | |
| 「果し得ていない約束」を果すために三島由紀夫は36年前、市谷駐屯地で演説後自刃した。 井上氏は三島氏の遺言(「あとに続く者あるを信じて・・・」)を再読することにより、自身の「果し得ていない約束」を最低限果すために本書を書いた。 人は誰も自身が果すべき約束を大なり小なり心の奥底に秘めて生きてきている。気付くか気付かないかの差である。「なぜ生まれてきたか」に、それはつながっている。ただ三島氏はあまりにも有能で純粋で「行動の人」でありすぎた。それを本能的に同じ心を持つ井上氏が感応して魅せられていったように思う。若さこその無謀ともいえる(学業そっちのけの)「楯の会」への入会。 私は井上氏と同年齢だが、1968年(昭和43年)10月21日、私は何をしていたか。1969年10月21日私は何を考えていたか。そして1970年11月25日(事件の日)私はどう受け止めていたか。思い起こすに、それは「国」のことではなく「自分」のことばかりであった。三島氏・井上氏の生きていたあの瞬間を、私は時代の奔流を横目で見ながら暢気にも「自分だけの青春」を過していた・・・ この本に出会って改めて三島由紀夫の「人」(批評... | ||